セブスト Fan Fun Festa

スマホゲーム「セブンズストーリー」とその運営への愛がみなぎる二次創作ショートストーリー

アヤコとジアス(前編)

これはアヤコが、アルフやセプティムに出会うもっと前のお話。

 

プロローグ

巨大な城が炎に包まれている。

その高層階の一室で障子の桟に腰をかけ、夜空を眺めるアヤコ。

 

城の家臣:アヤコ様、ここはもう持ちません。お逃げください

アヤコ:父と母はどうしたのじゃ

城の家臣:城主様は自害されました。そして、この城に火を放てと。奥方様もそれを追って毒を……

アヤコ:そうか。最期まで自分勝手なやつらじゃ……

城の家臣:そのような言い方は……

アヤコ:これは父の圧政が招いた自業自得の事態じゃ。今、反乱が起きなければ、あと3年もあれば私が父を殺していたわ

城の家臣:……

アヤコ:おぬしに今、そんな話をしてもしょうがないな。今まで我が家に仕えてくれてご苦労じゃった。おぬしも逃げよ

城の家臣:……城主様からアヤコ様に遺言があります

アヤコ:なんじゃ。

城の家臣:「敵の手に落ち、辱めを受けるぐらいなら自害せよ。それでも生きたいのなら、この香炉を持っていけ」と

アヤコ:これは……

城の家臣:「紅の香炉」です

アヤコ:父が最近大枚をはたいて手に入れたという香炉か。しかしなぜこんなものを……

 

そこに反乱軍の兵士達が飛び込んでくる

 

反乱軍の兵士1:いたぞ、城主の娘だ!

城の家臣:姫様、私が時間を稼ぎます。裏からお逃げください

アヤコ:無駄じゃ、もうどの道逃げられぬ

反乱軍の兵士1:アヤコ姫だな。その首を貰い受ける

反乱軍の兵士2:うひょー、こいつは上玉だ。こいつを殺す前に、ちょっとぐらい楽しませてもらってもいいだろう

 

アヤコは巨大な扇を開いて立ち上がると、一閃のもとに反乱軍の兵士を斬り倒す。

 

アヤコ:そうじゃな。わらわもせいぜい楽しませてもらうとしようか

 

反乱軍の兵士が次々と襲いかかる。

アヤコは次々と敵を切り伏せるが多勢に無勢、家臣は倒れ、アヤコも部屋の中央で多くの兵士に囲まれる。

赤く染まった扇から、血が滴り、香炉を濡らす。

 

反乱軍の兵士3:観念して、その首を差し出すのだ

アヤコ:ここまでか……

 

その時、血に染まった香炉が光り、複数の赤い光が飛び出す。

光は兵士たちをなぎ倒し、アヤコの周囲に集まる。

 

香炉の精霊:あなたが新しい主ね

アヤコ:お前たちは??

香炉の精霊:おいで、私達の城、紅城へ

 

香炉の光が一際強くなり、夜空に巨大な影を映し出す

 

アヤコ:これは……城!?

 

そこでアヤコは気を失って倒れる。

 

 

紅城①

ルーツの辺境のとある村。人々は夕空に浮かぶ異様な光景に目を奪われていた。

 

村人1:ありゃあ何だ!

村人2:城だ! 森の中に城が浮かんでいるぞ。

 

その村には、王都から派遣された騎士団の一行が逗留していた。

酒場で飲んでいた騎士達も騒ぎを聞きつけ、様子を見るために外に出てくる

 

騎士団員1:なんだ? 騒がしいな

騎士団員2:隊長、あれは……

ジアス:紅城……だな

騎士団員1:紅城! 王国に最近よく現れると噂の、あの女だけが住んでいる移動する城ってやつですか?

騎士団員3:紅城かよ!! これは燃えるな

騎士団員2:お前ら、なんだよ急に。

騎士団員3:知らねえのか。紅城は男なら一度は憧れる幻の城。美女しかない巨大遊郭だぜ

騎士団員2:本当かよ

騎士団員3:隊長、行きましょうよ!

ジアス:お前ら、俺が止めてもどうせ飛び出していくんだろう

騎士団員1:さすが隊長。話がわかるぜ

 

紅城②

紅城に通されたジアス達。

一人ずつ部屋に案内されるが、口実を作って抜け出したジアスは紅城内を探索する。

 

アヤコ:客人や。ここは立ち入り禁止じゃぞ

ジアス:ああ、すまねえ。厠にいってたら迷っちまった。あんたは……

アヤコ:ここの城主をしているものじゃ

ジアス:(ワウ族の娘……。こんなに若い娘がこの城の主だっていうのか……)

ジアス:部下たちが世話になるな

アヤコ:おぬしは部屋には戻らんのか?

ジアス:ああ。俺はああいうのはどうもな……

アヤコ:つまらん男じゃのう

ジアス:この城の娘達はなんだって、あんなことをしているんだ

アヤコ:なんじゃ、おぬし。この城のもてなしを疑って、嗅ぎ回っておったのか?

ジアス:あんなバカどもでも、一応、俺のかわいい部下だからな……

アヤコ:あれは、この城の精霊たちさ。肌をあわせて、おぬしらの精霊力をちょっとばかし分けてもらい、この城の力の足しにしておるのじゃ

ジアス:!

アヤコ:変な顔をするな。そんなに多くの量ではないわ。むしろ今日はゆっくり寝られて、明日には今日より元気になっておるじゃろうよ

ジアス:あんたは集めないのか? その精霊力とやらを

アヤコ:わらわか? そなたが相手をしてくれるのというのかな

ジアス:こんなうら若く美しいお姫様に、俺は似合わねえよ

アヤコ:子ども扱いするな。これでも紅城の主。わらわにも多少の心得はあるぞ

ジアス:あと5年経って気が変わらなかったら訪ねてきてくれ

アヤコ:ふふふ。覚えておくよ、隊長どの。名前はなんという?

ジアス:ジアスだ。あんたは?

アヤコ:アヤコ

ジアス:(アヤコ……。まさかあの和国の……)

 

そこに女官が現れる

 

女官:アヤコ様、失礼いたします。森にマモノが現れました。

アヤコ:もう、ここが嗅ぎつけられたか。エレメンタルストーンの調子はどうじゃ?

女官:あと一度、城の姿を消すぐらいならなんとか……

ジアス:どうかしたのか?

アヤコ:ジアス殿。すまんが、部下を連れて、今日はこのあたりでお引取り願おう

 (後編に続く)

 

 

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