メルセデス先生が2020年のハロウィンレイドのダメージランキングがいかにすごかったのかを解説する
プロローグ
11月某日。魔法学園のとある教室にファルメア達冒険者や魔法学園の生徒が集められ、メルセデスによる特別講義が行われていた。
メルセデス:さて、今日の講義のテーマはずばり「2020年のハロウィンレイドのダメージランキングを語る」よ
ファルメア:レイドは定期的に開催されるけど、今回のダメージはすごかったわね
メルセデス:レイドの中でも、昨年から行われているこのハロウィンイベントのレイドは特別ね
ウェインディ:何が特別なんですか?
メルセデス:それは、このレイドのレギュレーションが他のレイドとは一線を画するからよ
イリア:ハロウィンハットによる3倍ダメージで、お手軽に高火力が出せるからですよね
ファルメア:昨年開かれた第一回目のハロウィン・レイドではついに1ターンのダメージが30万を超え、ついに、レイドボスが1ターンでオーバーキルされる時代が来たということで、王都でも大きな話題になったわよね
メルセデス:そう。とてもダメージが出しやすいとともに、レイドボスのヒットポイントが「30万しかない」というのがこのレイドのレギュレーションの深いところよ
ファルメア:この一年でダメージを与える手段が増えたのに、ボスのヒットポイントが変わらなかってことね
メルセデス:そう。30万ダメージは簡単に出せるという中、どうやって、それ以上のダメージを与えるのかというのが今回最大のテーマだったわ。
まずは今回のダメージランキングの上位三組の結果を見てみるわね
ファルメア:ヒットポイントが30万しかないレイドボスに対して、ダメージが44万を超えているという驚異的な結果よね
メルセデス:そう。この上位3パーティ……わかりやすく、1位をジゼルちゃんパーティと、2位をアマドゥスくんパーティ、3位をリネットちゃんパーティと呼ぶとして、これらの数字が如何にすごて、また狂気に満ちたものだったかを解説していこうと思うわ
40万超えダメージの出し方
メルセデス:さて、まずは手始めに、今回のレイドでどうやったら40万を超えるダメージが出せるのか、分かる人はいるかしら?
スフィレ:先生、弓パなら行けると思います。
メルセデス:いいところに目をつけたわね。レイドでダメランを狙うなら、まずは弓パでどこまでいけるかやってみるというのが定石ね。それで一体どうするのかしら?
スフィレ:弓のスキル「降雨乱れ矢」が最大5回攻撃だから、最大ダメージが1撃2万として、一人あたり、2万×5の10万。4人でぴったり40万です! クラリスさんのスキル追撃や、スキル追撃アクセもあるから44万ぐらいはいけんじゃないですか??
メルセデス:甘いわね。でも、いくらハロフィンハットがあるからって、降雨乱れ矢で一撃2万ダメージを全員が出せるかしら?
スフィレ:事前にウィークウェポンを数回当てておけば大丈夫なのでは? あと、バハムートだって使えるわ
メルセデス:それではだめよ。ウィークウェポンを前のターンで使ってダメージを与えたら、一体どうなるの?
スフィレ:あ、そうか! 前のターンにダメージを与えると、その分レイドボスのHPが減るから、1ターンで与えらるダメージも減ってしまうんですね
ファルメア:ウィークウェポンを1回あてると1万5千ダメージ、2回あてると1撃がほぼ2万ダメージになってしまうから、かなりきつくなるわね
メルセデス:そう。弓パだけで一撃2万ダメージを与えようとすると、ハロウィンハットと大型攻UPなどをガン積みしたアクセをつけて、一意専心・明鏡止水をする前提でも、バハムートの被ダメUPと与ダメ+UPに加えて、ウィークウェポンの弓与ダメ+30%を、事前に1回あてておく必要があるのよ。そしてウィークウェポンを2回以上使うことは許されないわ。
ウェンディ:ウィークウェポンでダメージが1万5千ぐらい減った状態のレイドボスに対してダメージを与えるわけだから……、レイドボスの28万5千ぐらいのヒットポイントを最初の3人でぎりぎりまで削って、クラリスさんの追撃で2万ダメ×6回、もしくは奇跡の7回ヒットを当てるって感じですか
メルセデス:そう。弓パの理想形の立ち回りとダメージをまとめるとこうなるわね
1ターン目
- 弓1:一意専心
- 弓2:一意専心
- 弓3:ウェークウェポン(ダメージ約1万5千)
- クラリス:一意専心
2ターン目
- 弓1:明鏡止水
- 弓2:明鏡止水
- 弓3:一意専心
- クラリス:明鏡止水
3ターン目
- 弓1:待機
- 弓2:待機
- 弓3:明鏡止水
- クラリス:待機
4ターン目:
- バハムート:約1000ダメ
- 弓1:降雨乱れ矢 1万9千×4
- 弓2:降雨乱れ矢 2万×5
- 弓3:降雨乱れ矢 2万×5
- クラリス:降雨乱れ矢 2万×6 or 2万×7
メルセデス:6回ヒットで28万5千+12万の40万5千、7回ヒットしたとして42万5千ぐらいが今回のレイドにおける弓パの限界になるわ
次はこの弓パの限界を超えて、43万超ダメージをどうやって出すのかがテーマよ
43万超ダメージを目指す
スフィレ:でも、クラリスさんが、現状14万ダメージを出せる唯一のキャラですよよね。弓パ以外でどうやって攻略を?
メルセデス:そうね。パーティの最後にクラリスが降雨乱れ矢をうつのは絶対不可欠の条件よ。でも、前のターンに1万以上もダメージを与えてしまうウィークウェポンは使えない
ファルメア:一体そんな方法が??
メルセデス:そこで登場するのが、今回新たに実装されたスピリットスキルよ!
全員:スピリットスキル!
メルセデス:弓の一人を追撃持ちキャラに置き換えるの。わかりやすくスフィレがその役をやる前提で説明すると、スピリットスキル「スピリッツアタック」と、与ダメアップが可能な「借りたい猫の手」を打たせるのよ
ウェンデイ:ええっと、スピリッツスキルは発動後、再行動可能なんですよね。スフィレさんはスキル時2回追撃があるから、アクセも込みで最大4回ヒット……、それで2回攻撃できるわけで……
メルセデス:そう、スフィレで最大8回ヒットの16万のダメージを稼ぎつつ、あとのキャラの与ダメを20%上げられる。それとバハムートを使うことで、ぎりぎり弓キャラに1回2万ダメージを付与することができるわ。
ここのアクセの条件は本当に厳しくて、スキル威力UP+10%では足りないから、幽体か大型与ダメUPに変えないと足りなかったりするぐらい微妙な条件よ
ウェンディ:本当に数%が大事になってくるわけですね。
スフィレ:じゃあ、それで、私を含めた3人で30万ダメージ、クラリスの14万ダメージ、本当は一撃2万じゃなくて、一撃19,999だから、19,999×22の439,978が最大ダメージってわけですね!
メルセデス:439,978のダメージはそんなに簡単なものではないわ。あなた、なにか忘れてないかしら……
スフィレ:??
メルセデス:このやり方を行うには、バハムートを使うことが必須。すなわちバハムートの800〜1000ぐらいのダメージが、必ずターン最初にあたってしまうのよ……
イリア:まさか……
メルセデス:そう。これは、そのバハムートのダメージ分を含めてHPをぎりぎり残す形で、バハムート+3人で30万に極力近いダメージを与えつつ、最後にクラリスで14万ダメージを出すことで、いかに439,978に近いダメージを出すかという、ギリギリの調整が求められるやり方なのよ。
具体的な行動とダメージをまとめるとこうなるわね
1ターン目
- スフィレ:一意専心
- 弓1:一意専心
- 弓2:一意専心
- クラリス:一意専心
2ターン目
- スフィレ:明鏡止水
- 弓1:明鏡止水
- 弓2:明鏡止水
- クラリス:明鏡止水
3ターン目
- スフィレ:待機
- 弓1:待機
- 弓2:待機
- クラリス:待機
4ターン目:
- バハムート:約1000ダメ
- スフィレ:スピリッツアタック 2万×3 借りたい猫の手 2万×3
- 弓1:降雨乱れ矢 1万9500×4
- 弓2:降雨乱れ矢 2万×5
- クラリス:降雨乱れ矢 2万×7
イリア:この例でいうところの弓1の微妙にダメージを抑えつつ、2万ダメージに近づけつつ、2万までは出さないというのが大事なんですね
ウェンディ:そんなことをどうやって?
メルセデス:微妙にスキル構成で調整するのよ。アクセを変えたり、オプションの与ダメ効果を落としたり……
イリア:そんなに微妙な調整が……
ウェンディ:そんな調整で、リネットちゃんのチームは439,521、アマドゥスさんのチームは439,978ダメージを叩き出したっていうんですか?!
メルセデス:これらがいかに狂気に満ちた数字であるか、あなたは知らなければならないわ
ウェンディ:え、でも、このやり方って、アマドゥスさんチームの439,978なんて、ダメージの揺れ幅も考えるとほぼ最高値ですよ。それをアマドゥスさんが達成してしまったのに、なんでその上がいるんですか?!
メルセデス:それが今回レイドの最大の謎、44万ダメージの壁をジゼルちゃんがどうやって超えていったのかということよ
44万ダメージの壁を超える
イリア:44万ダメージはいかないはずです。クラリスが最大14万ダメージ、正確にいうと139,993とレイドボスのHPから1を引いた299,999の合計439,992が理論的な最高ダメージのはずですよね
メルセデス:クラリスの降雨乱れ矢が7回ヒットしかできなければね
イリア:!?
メルセデス:スキル追撃アクセには何があるか、イリアは知っているかしら?
イリア:一つは「野球ボール」、体力100%のときにスキル追撃がでるアクセです。そしてもうひとつは「クマの着ぐるみ」、これは体力60%以下のときにスキル追撃が出るアクセです。これらは同時に発動しないので、クラリスさんのアビリティ「連続スパイク」とあわせても7回しか攻撃はあたらないはずですよ
メルセデス:スキル追撃アクセは2つではないわ
イリア:まさかあれですか!? いやまさかそんなはずは……
メルセデス:思い出したようね。そう、あの天下五刀の一つ「真・蒼水剣」よ
スフィレ:先生! これはスキル追撃の効果が3ターンしかないんですよ。これまでのパーティに必須だったバハムートを出せるのは最短で4ターン目。それじゃあ、弓のダメージが一撃2万を出すことなんてできないですよ
メルセデス:そうかしら。真・蒼水剣のスキルをよく読むのね
ウェンディ:スロウ与ダメ……+45%!!
メルセデス:そう。クラリスのダメージはスロウ与ダメと前のターンにウィークウェポンを当てておくことで、2万ダメージに届くのよ。むしろ難しいのは、クラリス以外のもうひとりの弓を誰にするかね
ファルメア:クラリスは、一意専心+明鏡止水+スロウ与ダメUP+ウィークウェポン1回で2万ダメージに届くとして、最低もう一人の弓は、ウィークウェポンを撃つために明鏡止水は使えないんだから、一意専心だけで2万ダメージに届かないといけないというわけね
メルセデス:そのとおりよ。そして、それを現状実現できるキャラは棗鈴ただ一人よ!
ウェンディ:棗鈴ちゃんだけなんですか?
メルセデス:自己バフがかかる編成効果に加え、アビリティで「スキル攻撃時に攻撃があたった敵または壁の数だけ、自分にスキル威力UP(+12%)を付与できるのよ
イリア:ウィークウェポンをうつこととスキル威力UPを両立できるんですね。
メルセデス:そう。そしてこれが44万ダメージを超える理想の攻撃例よ
1ターン目
2ターン目
3ターン目
イリア:これで44万1千ダメージ……。44万の壁を超えるんですね……
ファルメア:降雨乱れ矢で8回ヒットの16万ダメージ……。でもこんなダメージが本当に出るというの……
メルセデス:あなたの目の前にあるジゼルちゃんの結果がすべてよ。ジゼルちゃんのやり方が正確にこれと同じかはわからないけど、同様の奇跡が起こったことは確かだわ
■エピローグ
メルセデス:さて、今日の講義はここまでね。しかし、勘違いしないように最後に言わせて頂戴。どうやってダメージが出せるかわかることと、本当にそのダメージが出ることの間には大きな差があるということよ
ウェンディ:この奇跡みたいな確率を引き当てるのはとても大変ってことですよね
メルセデス:それだけではないわ。やり方が分かった上で、それが実現する確率をいかに上げて、現実的な試行回数の中に落とし込んでいくのかというのが、とても大事なのよ
スフィレ:どういうことですか?
メルセデス:例えば、上位3組のジゼルちゃんやアマドゥスくん、リネットちゃんのパーティは、どれも3人めにエステアちゃんを置いているでしょう? これには大切な意味があるのよ
ウェンディ:4回攻撃のスキルを確定で打てるってことですよね
メルセデス:それだけではないわ。この場合エステアちゃんは攻撃回数を選択できるっていうのがとても大切なの
スフィレ:選択できる??
イリア:エステアちゃんにも真・蒼水剣をもたせると、トリプルアクアブレードで3回ヒットを出せるってことですか?
メルセデス:そのとおり。降雨乱れ矢やスキル追撃の発生確率はランダム性が高いから、エステアちゃんが何回攻撃を当てないといけないかも場合によって変わってくる。エステアちゃんの場合、スキルで4回、トリプルアクアブレードで3回、遥かなる空間で2回といった形で、攻撃回数について状況にあわえた選択ができるのよ
ウェンディ:そんな工夫によって、最高ダメージが出る確率をあげていくんですね
メルセデス:その通り。奇跡は起きるものではない。起こすのよ
スフィレ:先生。かっこいい……
メルセデス:まあ、そんなことを言いつつ、私もやり方は思いつきながら、何回やっても44万ダメージは超えられなかったんだけどね(笑)
ファルメア:思いついただけで出せるダメージじゃないものね
メルセデス:私もいろいろ工夫してみたんだけど、クラリスちゃんを除く前の3人の攻撃が終わった時点で44万を超える条件が整うのが、1〜2時間やってて1回あるかどうかってところだからね
スフィレ:そんなにシビアなんですか?
メルセデス:そう。その上で、クラリスちゃんの降雨乱れ矢で8回攻撃がすべて当てるなんて……すごいと思わない
ウェンディ:まさに奇跡……ですね
メルセデス:そう。その結果を目の当たりにできただけで、セブスト民として幸せだわ。まさにジゼルちゃんが生んだハロウィンの奇跡!
授業終了のベルがなる
メルセデス:さあ、今日の講義はここまでよ
イリア:きりーつ! れい!
全員:ありがとうございました!!
(FIN)
ルヴォールとデアドラ
プロローグ
ルヴォールは帝国領の国境近くの町の駅で、帝都に向かう列車に乗り、出発を待っていた。
「ここまで来れば大丈夫か……」
車窓から外を眺めながら、これまでの旅路を思い返す。住み慣れた屋敷から身一つで脱出し、追手の影に怯えながら移動する日々。
「血のバレンタイン事件」
彼がそう名付けたあの日の出来事。彼から安息の日々と財産を奪い、長く生きてきた吸血鬼としての矜持すらも打ち砕いた忌まわしい思い出。あの娘の血を吸っただけなのに……。
(もう過ぎたことだ。既に去った国のことは忘れよう)
そう自分に言い聞かせる。日が沈んでから出発するこの列車は帝都まで直通で、およそ10時間の列車旅。ようやくゆっくりと眠ることが出来そうだ。
発車のベルが鳴り、扉が締まり、列車がゆっくりと動き出す。
ぼんやりと外を眺めていたルヴォールの視界に、車窓に反射し、通路の反対側に座る一人の乗客の姿が映る。
長いマントに身を包んで、フードを目深にかぶり男女すら判然としない。
(誰だ……。そして、いつの間に??)
警戒して旅をしてきたルヴォールは、周囲に不審な人物がいないか常に確認してきた。ルヴォールが席に座ったとき、そんな乗客は確かにいなかったはずだ。魔族の自分に気配を感じさせず、席についたというのか。
鼓動が早くなり、本能が危険を知らせる。ルヴォールは窓に映るその乗客の姿から目を離せない。
列車がスピードを上げる中、フードからわずかにのぞいた口元が、ニヤリと笑った。
マントから伸びた手が、フードの中の髪を掴んで毛先をいじる。その見覚えのある薄紫色の髪……。
「ちょっと失礼」
ルヴォールは隣の乗客に断って席を立つ。自分が罠にかかったのだという絶望を知りながら。
対決その1
ルヴォールは、乗っていた客車を出て後方の車両へと移動する。背後で例の乗客が席を立ち、ついてくるのがわかるが、振り返ることができない。
(なぜやつがここに……。そんなはずは……)
なにかの勘違いであることを期待しながら、車両を抜けるが、背後の乗客は、ルヴォールの後をついて離れない。
(いや……、いまはそんなことを言っている場合ではない。この状況の打開策を考えるのだ)
いくつかの客車を抜けて進むと、営業時間外の食堂車に出る。
薄暗い車内を進むルヴォール。
「どちらに行かれるのですか? ルヴォールさ・ま」
ビクッと背中を震わせて、ルヴォールは立ち止まる
「どうやって……」
「うふふ、私がここにいるのが不思議ですか? いけませんわ、ルヴォール様。わたくしと再会の約束がありながら、ルーツ王国を出て、このような場所にいらっしゃるなんて」
「さ、再会の約束だと?」
デアドラの表情はフードに隠れて見えない。
「これは少し……お仕置きしなければなりませんね」
その瞬間、ルヴォールの両足が何かに絡め取られ、車両の床に引き倒される。
「これは……リボン!?」
マントの下から無数のリボンがまるで蛇のように這い出し、ルヴォールの身体に巻きついてデアドラのほうに引きずっていく。
「さあ、こっちにいらして」
「こ……、このリボンは一体なんなのだ」
「これをご覧になってください」
デアドラは羽織っていたマントを脱ぐと、裸身にリボンをまとった姿を現す。それ自体はこの前に見た通りなのだが、以前とは様子が異なり、リボンが身体の表面で意思をもった生き物のように蠢いている。
「魔力コーティングか……」
「御名答。さすがはルヴォール様!」
しかし、これだけの量のリボンを操るとは、途方も無い魔法力。やはりこの娘は危険だ。戦うしかないのか。
ルヴォールは、その身を拘束していたリボンを爪で切り払って立ち上がる。
「やっとその気になってくださったのですね」
対決その2
ルヴォールは両手の爪を双剣のように伸ばし、デアドラに対峙する。互いにスキを伺う二人。先に仕掛けたのは、デアドラのほうだった。
「ルヴォール様、私の愛を受け止めてください」
ルヴォールを無数のリボンが襲う。それを次々に切り払うルヴォール。
「いけませんわ、ルヴォール様。そのようにリボンを切り刻まれては、私の身体を隠す布がなくなってしまいます……。誰が来るともしれない車内で、私の衣服を切り刻むなんて、なんて大胆な愛の告白!」
切らなければやられる。しかし切ってしまっては、それはそれでデアドラの思う壺。なんと破廉恥な攻撃なのだ……。
「スキあり、ですわ」
ルヴォールの一瞬の迷いを見逃さず、デアドラのリボンがルヴォールの両腕を拘束する。
「しまった!!」
「さあ、これで身動きはできませんわよ。さあ、そのキバで私の血を吸ってくださいな」
デアドラは、首に巻いていたリボンをほどいて、ルヴォールに近づく。
「無駄だ。血を吸うことだけは、私の意思がなければ、どうにもならないぞ」
「果たして、そうでしょうか?」
デアドラは不敵に笑い、リボンをしならせてルヴォールを打つ。その攻撃を受ける度、言いしれぬ感情がルヴォールを襲う。
「これは、魅了付与攻撃か……」
「ふふふ。さすがはルヴォール様。アルフたちのパーティから拝借した、状態異常付与を高めるアクセサリーをガン積みした魅了攻撃ですわ」
「しかし、魅了で何ができるというのだ、わずかな時間、私の正気をうばったところで……」
「それだけありませんのよ」
デアドラは、腰のリボンに差した二丁の拳銃を取り出す。
「それは……」
「ご覧になるのはさすがに初めてかしら。これは『幻惑双銃』。魅了付与時に、一定の確率で極度魅了を付与するという魔法のアイテムよ」
「極度魅了……だと!?」
「さあ、いつまで正気を保てるかしら?」
デアドラの攻撃がルヴォールを襲う。攻撃に襲われる度、ルヴォールの感情が何者かによって強制的に上書きされていく。
(嫌だ、嫌だ、嫌だ……)
その意思に反して、ルヴォールの身体がデアドラを求める。
ゆっくりと近づく二人。ルヴォールの手がデアドラに伸びたその時。
「そこまでよ、デアドラ!!」
車両内に声が響き、投げナイフがルヴォールの拘束を解く。
対決その3
「また出ましたわね。村娘!」
ルヴォールを拘束から解いた投げナイフを放ったのは、あのいつかの村娘であった。
(なぜあの娘がここに!?)
ルヴォールは状況についていけない。
「また人の恋路をじゃまするのね!」
「これが恋路とは笑わせるわ。邪悪な力でルヴォール様を洗脳しようとするとは」
「愛の力でルヴォール様を振り向かせようとしていたと言ってちょうだい。ルヴォール様への愛で魔力を増した私を、あなた一人で止められるのかしら?」
その時、村娘の後ろから、槍を持った別の娘が飛び出し、デアドラに突きを放つ。
「一人ではないわ!」
デアドラは後方に飛んでそれをかわす。
盾と杖を構えた二人を加えて、武装した四人の娘がルヴォールを守るように取り囲む。
「あなた達は一体?」
「私達は、ルヴォール様ファンクラブのメンバーよ」
「ファンクラブですって!?」
「そう。美形かつ現代を生きる希少な吸血鬼であるルヴォール様をお慕いし、その様子をお見守りするとともに、抜け駆けしようとする不届き者を成敗するために結成された秘密結社ですわ」
「それがなぜここに?」
「私達のネットワークを舐めないで頂戴。国境の街のメンバからルヴォール様を付け狙うあなたを発見したと連絡が入り、緊急でメンバを招集したというわけよ」
ルヴォールは全く理解が追いつかない。人里離れて密かに暮らす自分の生活が謎の組織に監視されていたというのか。
「まあ雑魚が4人になろうと、関係ないわ」
デアドラの攻撃がルヴォールとファンクラブメンバーに襲いかかる。ファンクラブメンバーの盾使いがルヴォールをかばい、攻撃を弾く。
「ルヴォール様。我々がこの娘の相手にしている間に、はやくお逃げください」
魔法使いが列車の天井に魔法を放ち、穴を開ける。
「す、すまない……」
ルヴォールはコウモリにその姿を変えると、天井を目指して飛び立つ。
「逃しませんわ」
デアドラもリボンを触手のように伸ばして天井を破壊し、自らの身体を屋上に引き上げる。それを追うファンクラブのメンバー。
列車の屋上、コウモリの姿をしたルヴォールはそのまま夜空に飛び立つ。
「二度も同じ手で逃がしはしませんわ」
デアドラはリボンを巻き取り、その形を複雑に変化させ、背中に巨大な2枚の羽を作り出す。デアドラはその羽を大きくはためかせると、巨大な蛾のように夜空に飛び立つ。
「まさかその姿で、飛べるというのか!?」
「お慕いするルヴォール様に少しでも近づきたくて、わたくし練習しましたのよ」
ルヴォールは恐怖に駆られ、翼を懸命に羽ばたかせて逃げる。
(魔力コーティングを施したリボンで羽を作って飛翔するだと……。あんな能力はありえない。あれは……人間ではない……)
「させません!」
ファンクラブの杖使いの魔法が、デアドラの羽を貫く。デアドラはそのバランスを崩し、ゆっくりと森に向かって落ちていく。
デアドラの声が夜空に響く。
「ルヴォールさま! いつか必ず、あなたは私のものに……」
エピローグ
ルヴォールは帝都近くの小さな村で、森のそばの洋館を手に入れ、再び安寧の日々を取り戻していた。あの日以来、あの娘の姿を見かけることはない。あの秘密結社とやらも……。
夜更けにルヴォールは棺桶の中で目を覚ます。最近は長く眠ることが出来て、すこぶる調子がいい。
(あの悪夢のような体験を思い出すことも少なくなった)
ルヴォールが棺桶の蓋をあけ外に出ようとすると、蓋が動かない。何かが巻き付いて、棺桶を塞いでいるようだ。
ルヴォールは蓋の隙間から棺桶に巻き付いた何かを切り、ようやく外に這い出すと、その瞳に驚愕の光景が浮かぶ。
ルヴォールの部屋には、無数のリボンが蜘蛛の巣のように張り巡らされ、強固な結界が作られている。その結界に腰掛け、ニヤリと笑う薄紫の髪の娘。
「ようやくお目覚めですか、ルヴォールさ・ま」
ルヴォールは悪夢の日々が再び始まることを知る。
(FIN)
<公式によるイベント紹介>
【お知らせ】
— セブンズストーリー公式 (@sevens_story) February 12, 2020
「バレンタインログインプレゼント」キャンペーン開催!
期間中ログインで、毎日300ジェムが貰えます!
最終日は600ジェム!ぜひログインしてお受取りください!
[ 開催期間 ]
2020年2月7日(金)15:00 ~ 2月14日(金)14:59#セブスト #セブンズストーリー pic.twitter.com/PZjGvpatFr
盾のアルフくんの成り上がり
プロローグ
王都近くの森に遠足に出かけているアルフ一行。アルフが周囲を探索していると、転んでおにぎりを落としてしまう。
アルフ:あ、待って!
勢いよく転がっていくおにぎりを、アルフが追いかける。地面に空いた穴に向かうおにぎりにアルフが手を伸ばした瞬間、異変が起こる。
セプティム:アルフさん、危ない!
穴のあった周辺の空間が黒く歪み、渦のようなものが出現する。アルフは立ち止まろうとするが間に合わず、渦に巻き込まれる
セプティム:アルフさーん!!
セプティムの叫びもむなしく、渦はアルフを飲み込んだ瞬間に消滅し、元の空間に戻る。その後には、アルフの剣だけが残されていた。
召喚一日目
アルフは気がつくと、他の3人の男達とともに、石造りの建物の中で祭壇のようなところに立っていた。その周囲でローブをまとった人々が口々に叫んでいる。
神官1:おお、召喚が成功したぞ
神官2:勇者様、この国、メルロマルクをお救いください!
アルフ:勇者!? 僕がですか!?
神官達はアルフたち4人がこの世界を救うために召喚された「四聖勇者」と呼ばれる存在であること、そしてこの世界が存亡の危機に立たされていることを説明する。
用意された一室に集まった勇者達は、自分たちがそれぞれ異世界からやってきたことを知り、情報交換を始める。
槍の勇者;じゃあ、自分たちが何という国から来たか、一斉に言うぞ!
弓の勇者:そうですね
全員:せーの!
剣の勇者:日本!
槍の勇者:日本!
弓の勇者:日本!
アルフ:ルーツ王国!
剣・弓・槍:(なんか、もともと異世界にいた人が混ざってる!?)
勇者達は、自分たちが微妙に違う世界からやってきたことに気づき始める。
剣の勇者:じゃあ、次は一般常識の問題だ! 今の首相の名前は言えるよな
全員:(みんな頷く)
全員:せーの
剣の勇者:湯田正人!
槍の勇者:谷和原剛太郎!
弓の勇者:小高縁一!
アルフ:アンドリュー王!
剣・弓・槍:(明らかに日本人じゃない!!)
話題はこの世界に自分たちがどうやって来たかという話に。
剣の勇者:下校途中に殺人事件に遭遇して、幼馴染を助けたところまでは覚えているんだが……
槍の勇者:オレは二股かけてた女の子にナイフで……
弓の勇者:僕は塾の帰りに横断歩道で待っているとダンプカーが……
アルフ:僕は遠足の途中で、落ちたおにぎりを追いかけていたら……
剣・弓・槍:(遠足でおにぎり……??)
アルフのエピソードに、気の毒な空気がただよう。
弓の勇者:でも、あの人、盾だし……
槍の勇者:やっぱ……そう?
剣の勇者:ああ……
アルフ:その反応はなんなんですか!?
勇者達は自分の世界に存在した、剣・槍・弓・盾の4つの武器種が存在するゲームにおける盾の扱いを説明する。
剣の勇者:オレの世界にあったVRMMOでは、盾職は残念ながら最弱だったな
弓の勇者:僕の世界のコンシューマゲームでも、盾は高レベルユーザは全然居ない、負け組職業でしたね
槍の勇者:俺の世界のネトゲーでも、盾だけはどうにもなあ
アルフ:そうなんですね……。まあ、僕は前の世界で冒険者になってから、ずっとこの盾を持って戦ってきたので、慣れていてよかったですよ
剣・弓・槍:(ゲームじゃなくて本職の人!?)
召喚二日目
召喚二日目。王の謁見の間に呼び出された勇者達。
王:では皆のもの。己がステータスを確認してもらいたい。視界の端にあるアイコンに意識を集中するのじゃ
王の言葉に戸惑いながらも、勇者達は自分のステータスを確認する
剣の勇者:レベルは1だな
弓の勇者:同じく。レベル1です
槍の勇者:オレもだ
アルフ:レベル110って書いていますね
剣・弓・槍:(110だと!!)
謁見の間には4人の勇者の他に冒険者が集められている。
王:さて、ここに勇者と同行したいという者が集っておる。さあ、未来の英雄たちよ。仕えたい勇者とともに旅立つのじゃ
12人いる冒険者が選んだのは、剣の勇者5人、槍の勇者4人、弓の勇者3人、盾の勇者ゼロという結果に。
アルフ:仕方ありません。この世界で、盾は人気がないようですし……
剣の勇者:そんなことを言って、お前は盾職一人だけで大丈夫なのか?
アルフ:前の世界で僕が相棒と始めた冒険者パーティは、たくさんの仲間が加わって大所帯になっていたので、たまには一人もいいかなって……
弓の勇者:何人ぐらいの人でパーティを組んでいたんですか?
アルフ:180人ぐらいですね。人が多いとなにかと気を使うことも多いんですよ
剣・弓・槍:(180人って、どこの軍隊ですか……)
そこに一人の冒険者が申し出る。
マイン:私は盾の勇者様のパーティに入ってあげてもいいですよ
アルフ:ありがとうございます
マイン:よろしくお願いしますね
アルフ:こちらこそよろしくお願いします
マイン:(なんだか頼りないわね。でも、騙しやすそうな人w)
アルフとマインは城を出て、装備を整えるために武器屋を訪れる。
マイン:盾の勇者様は武器はお持ちじゃないんですね
アルフ:剣は前の世界に落として来てしまったようなんです
マイン:じゃあ、この剣なんてどうかしら?
アルフが剣を手に取ろうとすると、バチッという音がして指先から弾かれる。
武器者の主人:なんだあ!?
アルフ:ええっと、勇者は専用武器以外装備禁止って出てきますね……
マイン:(ほら、伝承の通り。盾は自分では武器を装備出来ず、攻撃も出来ない役立たずだわ)
アルフ;これは困りましたね。
武器屋の主人:武器が装備できねえって、一体どうするんだよ
アルフ:まあ仕方ありません。このまま冒険に出かけることにしましょう
アルフ達は城門を抜けて街外れに出る。広大な平原の中で各勇者がオレンジのモンスターを相手にレベル上げをしている。
マイン:では、勇者様。あそこにいるのはオレンジバルーンです。とても弱いモンスターですが、好戦的ですのでお気をつけください
アルフ:剣が使えないのは不便ですね
マイン:(ふふふ。この勇者は武器も仕えず、一体どうするつもりかしら。まさか素手で殴りつけるとかね)
アルフ:確かイェルタさんがこんな感じで戦っていたような……
アルフが盾を大きく振りかぶってモンスターを殴りつけると、バルーンは簡単に破裂する
マイン:(盾で殴るですって!?)
アルフは盾で殴りつけ、次々とバルーンを撃破。盾を使って他のどの勇者よりも効率よくモンスターを倒していく様に、周囲が騒然となる。
アルフ:あはは、慣れてくると楽しいですね!
マイン:(じゅ、順応性の高い子ね……)
アルフ:シールドフォールブレイク!!
アルフはそう叫ぶと盾を抱えて大きく飛び上がり、周囲のオレンジバルーンを一網打尽にする。
剣・弓・槍:(なんか、必殺技みたいなやつまでマスターしているんですけど……)
アルフ:でも、いくら敵を倒しても経験値が入らないんですよね
剣・弓・槍:(レベル、やっぱりカンストしている!?)
召喚三日目
翌朝、マインの罠により、王都の兵士たちに捕らえられたアルフ。アルフは所持金の全てと昨日購入した鎧を奪われた上、マインの寝込みを襲って乱暴しようとしたという嫌疑を掛けられたのだ。
王城の謁見の間にアルフは引き立てられ、他の3人の勇者、国王、マインが一堂に介している。
アルフ:マインさん、これは一体どういうことなんですか?
マインは槍の勇者の後ろに隠れ、わざとらしい様子でアルフを睨みつけている
マイン:う、ううっ。昨日、盾の勇者様がお酒に酔った勢いで突然私に襲いかかってきて……
アルフ:まさかそんな……
槍の勇者:見損なったぞ、アルフ!
剣・弓:(いやー、どう考えてもマインの主張は無理があるだろう……)
剣と弓の勇者は、痛々しいものを見るような目をマインと槍の勇者に向ける。
アルフ:僕は昨日晩御飯を食べた後、部屋で寝ていただけですよ
国王:おぬしは、我が娘が嘘をついているというのか!?
槍の勇者:そうだそうだ。こんなかわいい娘がウソを付くはずがない
剣・弓:(これは父娘そろってダメなパターンだ……)
王はアルフの主張に一切聞く耳を持たず、一方的に断罪した上で宣言する。
国王:今のところ、盾の勇者の代わりはいないので、牢に入れることはない。だが……既にお前の罪は国民に知れ渡っている。それが罰だ。即刻立ち去るがいい
剣・弓:(うわー、この王の配下になる国民が気の毒すぎる……)
アルフは小さいため息をつく。
アルフ;仕方ありません。
剣の勇者:アルフ、このままでいいのか?!
アルフ:構いません。そのうち誤解も解けるでしょう
弓の勇者:でも、あなたの名誉が……
アルフ:前の世界では、王を殺したという疑いを掛けられて、地下牢に放り込まれましたからね。それに比べればこれぐらい、どうってことないですよ
剣・弓:(この人、どんな修羅場をくぐってきているんですか!?)
エピローグ
一ヶ月後。メルロマルク王国を波が襲う。それぞれに修練を重ねた勇者たちが一同に会して波に立ち向かおうと準備を進めている。
剣の勇者:そういえばアルフはどうしたんだ?
槍の勇者:あんな非道な輩は来なくていいだろう
弓の勇者:まだそんなこと言っているんですか?
その時、3人の近くの空間が光り、アルフが転移してくる。
アルフ:皆さん、遅くなってすみません。同行者設定で仲間を転送させるのに時間がかかってしまって……
アルフに続いて、大量の光が出現し冒険者が現れる。その数、百以上。
ラフタリア:アルフ様。ご指示を!
槍の勇者:な、なんだあ、この数は??
弓の勇者:知らないんですか? アルフは王都の奴隷を解放して亜人達の傭兵団を結成したんですよ
アルフ:僕は何もしてないですよ。ラフタリアさん達が頑張って、女王陛下に動いていただいただけで……
続いてフィロリアルに乗った大量の騎士団兵士が現れる。
フィーロ:ご主人さま!
騎士団員その1:アルフ様、フィロリアル騎兵団の第1軍と第2軍は既に配置についております
騎士団員その2:いつでも突撃のご命令を!
陣形を整えた2個大隊が整然と並ぶ。
槍の勇者:今度は一体なんだ!?
剣の勇者:知らないのか? アルフは騎士団の新たな戦力としてフィルリアルを騎馬として使った軍団を結成し、今やメルロマルクの騎士団の半分はアルフの指示で動くとされているだぞ
アルフ:僕の指示じゃないですよ。単に騎士団に知り合いが多いだけで
槍の勇者:一ヶ月で一体なにが……
アルフの号令で軍隊が動く。戦いの中心で自ら敵を引き付け、盾で強力な一撃を放つアルフ。
弓の勇者:やることが……ありませんね
剣の勇者:ああ……
槍の勇者:一体、なんなんだあ
呆然と戦いを見守る3人の勇者。それは後に「人たらしの盾」としてメルロマルクの歴史に刻まれることになるアルフの初陣であった。
(FIN)
2019年セブスト10大ニュース
プロローグ
ルーツ王国は大晦日。魔法学院の某所に設置されたスタジオで、カメラを向けられたセットにはこたつが据えられており、3人の冒険者達が座っている。
ノエル:さあ、年末恒例のお楽しみ!
ノエル&メルセデス:2019年セブスト10大ニュース!
ノエル:はっじまるよー!!
ノリノリの二人と対象的に、明らかに場の雰囲気についていけていないファルメア。
ファルメア:なになに?唐突になんなの?
ノエル:これは2019年にセブストの世界で起こった重要な出来事を10大ニュースとして振り返る番組だよ
ファルメア:番組ってなに!? そしてここはどこ??
メルセデス:ここはルーディ先生とリリィの異世界魔法研究によって生み出された2.5次元空間よ
ファルメア:ちょっと意味がわからないんだけど……
メルセデス:今日はこのセブストの世界の中のような外のよう場所から、誰かが独断と偏見で選んだ10大ニュースをお届けするのよ
ファルメア:設定が雑だわ。そして誰かの独断と偏見って……
ノエル:まあ細かいことは気にしない♪
メルセデス:じゃあ、さっそく一つ一つ振り返っていきましょう!
ハロウィンが12月まで延長
ノエル:さあ、まずはこれ! 「ハロウィンが12月まで延長」だよ
メルセデス:まさかハロウィンが延長されるなんてね……
ファルメア:ちょっと? ハロウィン延長ってどういうことなの?
メルセデス:ファルメアはハロウィンって何月までか知っているかしら?
ファルメア:当たり前じゃない。12月半ばのクリスマスイベントが始まるころまでがハロウィンでしょ?
メルセデス:ふふふ。本当にそうなのかしらね
ファルメア:なにか思わせぶりな言い方が気になるわね
メルセデス:この世界の全員がそうだと思い込んでいるのだけど、実は去年までハロウィンは10月末までと決まっていたのよ
ファルメア:どういうこと?!
メルセデス:今年、何者かによって大きな歴史改ざんが行われたのが観測されているわ
ファルメア:歴史が改ざん……?
ノエル:噂によると、なんでもハロウィンの仮装をした3人組の仕業だとかね〜
メルセデス:私達は既に何者かによる改ざんされた世界線を生きているのよ
ファルメア:ちょっとなにそれ、怖いんですけど……
ノエル:来年も暗躍する彼らから目が離せないね。じゃあ次に行ってみよう!
強すぎるホワイトデーアルニアス
ノエル:次はこれ、「強すぎるホワイトデーアルニアス」だよ
メルセデス:今年もたくさんの新キャラが追加されたけれど、ひときわ輝きを放っていたのがホワイトデーに実装された騎馬アルニアスだったわね
ファルメア:騎馬で大剣の移動力のデメリットをメリットに変えてたきたからね
メルセデス:そしてあのスキル追撃。アルニアスが単騎で敵陣に突っ込んで、大地の怒りⅢを放つのが強すぎるわ
ノエル:私なんてハンマー振り上げているだけで戦闘が終わっちゃうからね。あの強さは反則だよ
ファルメア:それにあの相変わらずのイケメンぶりがね
メルセデス:ユーリとアルニアスの騎馬対決も女子たちを虜にしていたわね
ファルメア:あの二人の決着もつかないまま年を超すわけね
ノエル:来年もあの二人からは目が離せないね! そして新キャラといえばもうひとり、この人も外せないよね!!
アルフくんのおばさん、キャロルがプレイアブル化
ノエル:セブスト2周年に追加された新キャラクターは、大方の予想を裏切って、アルフくんのおばさん、キャロルさんだったね
メルセデス:ちょっとレトロなデザインの鎧姿も話題になったね
ノエル:そのへんに置いているほうきで魔王軍の幹部を退ける圧倒的な強さ!
ファルメア:アルフくんのおばさんがあんなに強いんだったら、私達の旅の苦労の意味は何だったのかしら……
ノエル:細かいことは言いっこなしだよ
メルセデス:敵の攻撃を受け流して反撃するという槍の強さの新境地を教えてくれたキャラでもあったわね
ソウルストーン実装。あのショップ店員は何者?
ノエル:今年はセブストの世界にソウルストーンが実装されたね
メルセデス:ソウルストーンによって、レベル上限開放、ダメージ上限突破、武器種ごとの強力な新スキルが実装されたわね
ノエル:それにあわせて、王都にはソウルストーンを売る特別ショップがオープンしたよ
ファルメア:あれ以来、あのお店は毎日行列が出来る王都一番の人気店ね
ファルメア:特別ショップにはなんで私達のソウルストーンを売っているんだろう
ノエル:王都の噂では、あの店員が冒険者から魂を引き抜いて錬成していると魔女なんじゃないかと
ファルメア:あの店員、一体何者なのかしらね!?
レイドのダメランの最高ダメージが30万を突破
ノエル:ソウルストーンといえば、ダメージ上限開放と新スキルで、レイドボスのダメージランキングの与ダメが上がり続けた一年でもあったよ
メルセデス:一番はハロウィンのレイドバトルだったわね。ハロウィンハットを被って降雨乱れ矢を放つ弓パーティは、1ターンのダメージがついに30万を超えたらしいわ
ファルメア:30万超といえば、レイドボスのHPを超えているわよね
ノエル:レイドボスが1ターンでオーバーキルされる時代が来てしまったとはね〜
ファルメア:それはもはやレイドである意味が……
メルセデス:でも、ソウルストーンが新たな戦略の幅を生んだ一年であったのは間違いないわね
ファルメア:たしかに。来年の絆システムにも期待したいわ
ノエル:そして大型ボスといえばもう一つ、年末にビックイベントが来たよね
新ビッグボス・ユキワタアメの襲来
ノエル:新ビッグボス「ユキワタアメ」が登場!
メルセデス:まさかの年末実装。そして青、赤、緑の3色でエレメントコアに続いて属性変化が攻略のキーになるのかと思いきや、3体で現れるとはね
ノエル:Twitterには、実装からわずか2時間足らずで討伐したという猛者の報告もちらほら出ていたらしいよ
ファルメア:Twitterって一体……?
ノエル:まあ、ビッグボスは普通に倒すだけじゃなくて、1パーティ討伐、特定の縛りでのパーティで討伐とか、様々な楽しみ方が出来るからね
メルセデス:シルヴィアとミナス達から、ハンマーパーティでユキワタアメを倒したいと相談を受けているのだけど、これが悩ましいのよね
ノエル:シルヴィアちゃんたちは本気だけど、ハンマーで皮革は厳しすぎるよ
ファルメア:それにあの人達火属性よね……。まあ、なにはともあれ私達のユキワタアメ討伐はまだ始まったばかりというわけね
ノエル:この年末年始はまだまだビッグボスバトルが楽しめそうだね
メインストーリー追加
ノエル:ところで、今年はついにメインストーリーが追加されたね
ファルメア:メインストーリー追加って10大ニュースなのね
メルセデス:2018年はメインストーリーの追加がなかったからね。ファン待望、満を持してのストーリー追加よ
ノエル:ついに追加された第6章と第7章。セプティムちゃんの過去も明らかになったところでこれから展開が楽しみだね!
メルセデス:メインストーリーに加えて、今年はたくさんのサブストーリーが追加された年でもあったわ
ノエル:どれもセブストらしいダークな展開だったけれど、中でも印象的だったのは、やっぱりこれだよね
運命の五刀 エステア&フェクタちゃん
ノエル:サブシナリオ「運命之五刀」が開始!
ファルメア:中でもエステアちゃんとフェクタちゃんの出会いは忘れられないわね
ノエル:ロヴィーサさんやアミレットちゃんが二人を気遣うストーリーも印象的でした
メルセデス:魔法界最大の禁忌、人体の培養に手を出すとは、あのギアフリードの一味を許すことはできないわ
ノエル:ギアフリードといえば、例の五刀クエストで、ギアフリードを5ターンで討伐するというチャレンジも行われていたね
メルセデス:実際にギアフリード討伐に挑んだ人に話を聞くと、一戦闘に行き帰りの通勤時間を含めたすべてを費やし、約一週間かかったそうね
ファルメア:それは一体なに情報??
ノエル:そういうチャレンジでいうと、最初にTwitterに報告があったのは、いにしえの虚魂の討伐だったね
メルセデス:あれが倒せるんだと色めき立ったセブスト民が盛り上がったのよね。それを皮切りに、ギアフリード、カプさんクワさんからマァリィちゃんまで、クエストに登場する倒せないはずの強キャラ討伐のチャレンジが行われた一年でもあったわね
ノエル:真の高難度クエストは自分で作るものだということだね
メルセデス:称号を含めて何の見返りもなく、ただTwitterで頭がおかしいと言われるためだけに膨大な素材と時間を費やす行為……
ノエル:来年もどんなチャレンジが待っているのか楽しみだね
コラボイベント 七つの大罪&おそ松さん&クラナド
ノエル:次はコラボイベントだね。「七つの大罪」「おそ松さん」「クラナド」と異世界からセブストの世界に続々とキャラクターがやってきたね
メルセデス:どのコラボも原作ファンから絶賛されるキャラ造形と、丁寧なイベントシナリオがすばらしかったわね
ファルメア:クラナドのコラボのときに、急にイベントシナリオに分岐が出来たのにもびっくりしたわね
ノエル:無限ループするイベントシナリオがあったような……
ファルメア:それは言ってはだめなやつよ!
ノエル:来年も一体どんなコラボがくるのか楽しみだね!
慢性的なソル不足にトッフォーが失踪
ノエル:そして今年を締めくくる最後のニュースはこれだよ。「慢性的なソル不足にトッフォーが失踪」
メルセデス:ソウルストーン実装とデイリーショップの登場によって、慢性的なソル不足が発生し、黄金クエに駆り出され続けたトッフォーがついに失踪したわね
ノエル:トッフォーは働きすぎて魂が抜け、だんだん体が透けてきていたらかね……
ファルメア:あんなに稼いだお金を全て吸収していく特別ショップも、考えてみれば恐ろしいわね
メルセデス:王都の噂では、今年一年で王国の富の半分があの店に集まったのではないかとも言われているわ
ファルメア:来年もまだまだあのお店に通い続けることになりそうね……
ノエル:でも大丈夫! 来年はねずみ年、ラトル族であるトッフォーの当たり年だよ
ファルメア:それは大丈夫ってことなの!?
メルセデス:来年もトッフォーに休息が訪れることはなさそうね
ノエル:失踪したトッフォーが★4で配布イベントキャラとして戻ってくるとか、新たな展開にも期待したいところだね!
エピローグ
ノエル:さあ、この大晦日にお届けしてきたこの番組もそろそろお終いだよ
ファルメア:だから、番組って一体なんなの??
メルセデス:2020年、セブストは一体どんな展開を迎えるのか、そしてトッフォーは帰ってくるのか
ファルメア:注目ポイントはそこ!?
その時、王都に年越しの鐘の音が響く
メルセデス:あら、もう日付が変わったのね!
ノエル:ハッピーニューイヤー!
メルセデス&ファルメア:あけましておめでとうございます!
その声を聞いて、こたつがもぞもぞと動き、ウェルメーフが顔を出す
ファルメア:あなた、ずっとそこにいたの??
ウェルメーフ:お正月が……来た?
ノエル:そうだよ! 2020年の幕開けだよ
ウェルメーフ:オモチ……食べたい……
4人を乗せたままこたつが浮き上がる
ファルメア:ちょ、ちょっと!?
ウェルメーフ:お正月におこたで食べる、オモチ……。それは最高……
メルセデス:このまま行くっていうの?
ウェルメーフ:行く。オモチ……もっちもち
ノエル:いいねえ。それじゃあこのまま、オモチの買える特別ショップの新春初売りセールにしゅっぱーつ♪
こたつは4人を乗せ、まだ暗い新年の王都の空に飛んでいく
(FIN)
進め!混沌の岩窟 〜ハボットの岩窟メシ〜
プロローグ
ハボットたちが混沌の岩窟で釣り上げた巨大魚は、村の酒場で調理され、その味は冒険者達に絶賛を浴びた。
しかし、パーティが遭難しかかったことを受けて、ファルメア達はギルドと協議し、岩窟は立ち入りが禁止されることになった。
それから数日。混沌の岩窟の入り口には、釣り竿を担ぐ一人の男の姿があった。
ハボット:これで諦めるようでは、トレジャーハンターの名が泣くからのう
その背後から、大きな鍋をかついた少女が一人。
イシーヌ:ハボット、水臭いじゃない。あなたが釣った魚を美味しく調理する人が必要なんじゃないかしら
さらにそこの背後から、杖をもった魔法少女が一人。
ココナ:このココナ様を差し置いて、こそこそと出かけるとは何事? あの巨大魚を少人数で釣り上げるには私の爆裂魔法が必要なんじゃなくって?
そこに現れる歴戦の冒険者。
ファルメア:ちょっと、あなた達、何やっているのよ! ここは立ち入り禁止になったって言ったでしょう?
ココナ:やば! みつかっちゃった!?
ハボット:フォッフォッフォ。ワシらにそれを言う前に、その後ろ手に隠している釣り竿は一体なんなのか、教えてくれるかのう
ファルメア:!!
ばつが悪そうにファルメアは笑う。
ファルメア:しょうがないわね。みんなには秘密なんだからね
ココナ:そうこなくっちゃ!
ファルメア:さあ、岩窟が姿を変える前に、あの水辺に急ぐわよ
記憶をたどって地底湖にたどり着き、釣り糸を垂らす一行。
ファルメア:なにか聞こえない!?
ココナ:洞窟の形がまた変わろうとしているんだわ
イシーヌ:だめ、立っていられない
大きな地鳴りが響くとともに、地底湖の水が溢れ出し、地割れで発生した岩盤の裂け目に冒険者の一行を洗い流す。
混沌の岩場・深層その1
ファルメア:みんな、いるわね
ココナ;ここはどこなのかしら?
ファルメア:ずいぶん深いところに落ちたようね
イシーヌ:魚が釣れるのを当てにしてご飯を食べてこなかったから、お腹が空きました……
ハボット:腹が減っては採掘は出来ぬじゃ。皆で食べ物を探すとしよう
洞窟内に巣食うラージバットを倒しながら、周囲を探索する一行。
しかし、洞窟内に食べ物は見当たらない。
ココナ:おなかがへったー。もう倒れそう……
イシーヌ:私に提案があるんですけど
ファルメア:どうしたの?
イシーヌ:さっきから襲いかかってくるラージバットって、食べられないかしら
ココナ:マモノを食べるっていうの!?
ハボット:あれはコウモリじゃからな。フォーディース王国では、貴重なタンパク源としてコウモリを食べる習慣があると聞くぞい
イシーヌ:私、前から一度マモノを料理してみたいと思っていたのよね
ココナ:ちょっと正気!?
ハボット:キノコも食ってみたらうまかったじゃろう?
ココナ:キノコとマモノを一緒にしないでちょうだい!
ファルメア:何でも食べてどこでも眠る、それが、冒険者に大事な資質よ
イシーヌ:幸い、魚を食べるつもりだったから調味料は豊富に準備してきているし。出来上がった料理をみて考えるっていうのはどう?
ココナ:うう……。じゃあ、そうしてみるわ……
ハボットとイシーヌが手際よくラージバットをさばいて大きな鍋に放り込んでいく。
ココナ:う……。いい匂いがする……
イシーヌ:ラージバットを香辛料と生姜、ココナッツミルクで煮込んでみました
ココナ:ココナの好きな香り……
ハボット:じゃあ、食べようかの
ハボット・イシーヌ・ファルメア:いただきまーす!
ココナ:い、いただきます……
ココナがおそるおそるスープに手をつける
ココナ:お、おいしい……
ハボット:トリよりも淡白なラージバットの身が、甘辛いスープと絶妙にマッチするのう
ファルメア:私もラージバットを使って料理を作ってみたわ!
イシーヌ:ファルメアさん?
ファルメア:ラージバットを私の必殺の一撃で焼き上げた一品! 名付けてラージバットのバーニングディバイダー焼きよ!
ラージバットの全身が黒く焦げ、断末魔をあげる苦悶の表情が顔面に張り付いている。
ココナ:す、姿焼きは結構です……
混沌の岩窟・深層その2
混沌の岩窟の深部をさまようハボット達一行。
パーティは新たな問題を抱えていた。
ココナ:お腹がすいた……
イシーヌ:ラージバットが食べたい……
洞窟内で大量にいたラージバットはハボットたちの乱獲により、彼らの見ると姿を隠すようになったのだ
ココナ:もうなんでもいい、食べるものを……
イシーヌ:私に提案があります
ファルメア:どうしたの?
イシーヌ:私達に襲いかかってくる、あのエンプティって、食べられないかしら
ココナ:あれを食べるっていうの!?
ハボット:あれは目玉のお化けじゃからな。和国では、貴重な珍味として、魚の目玉を食べる習慣があると聞くぞい
ココナ:ちょっと正気!?
ハボット:ラージバットも食ってみたらうまかったじゃろう?
ココナ:ラージバットは獣よ。エンプティのような魔法生物と一緒にしないでちょうだい!
イシーヌ:まあ、マモノを食べるという意味では同じよね
ファルメア:何でも食べてどこでも眠る、それが、冒険者にとって……
ココナ:わかったわよ! 食べればいいんでしょう!!
ハボットとイシーヌが手際よくエンプティをさばいて大きな鍋に放り込んでいく。
ココナ:うう……。いい匂いがする
イシーヌ:和国から取り寄せた醤油とみりん、砂糖に生姜を入れて仕上げてみたわ。
ハボット:じゃあ、食べようかの
ハボット・イシーヌ・ファルメア:いただきまーす!
ココナ:い、いただきます……
ココナがおそるおそる煮物に手をつける
ココナ:お、おいしい……
イシーヌ:目の周りのゼラチン質にはコラーゲンがたっぷりで美容にもいいのよ
ココナ:美容!
ファルメア:私もラージバットを使って料理を作ってみたわ!
イシーヌ:ファルメアさん?
ファルメア:私がエンプティをバーティカルスラッシュで切り裂いて調理した一品よ
ラージバットの全身が真っ二つに切り裂かれた上で、串で豪快に貫かれて火にあぶられている。
ココナ:く、串焼きは結構です……
混沌の岩窟・最深層
ハボットたちは、食欲のままにエンプティの乱獲を始めると、ダンジョンからエンプティの姿も消えてなくなった。
ココナ:おなかが空きました…
ファルメア:このままでは全滅だわ……
そこに地底から低い声が響く。
地底から響く声:ワシの狩場を荒らすのは誰だ……
巨大な地響きを立てて、ダンジョンの一部から巨大な扉が現れる
ファルメア:これは、ダンジョンの最深部につながる扉?
イシーヌ:なんだっていいわ。そこに食材があるならば!
巨大な扉を4人がかりで開くと、巨大がドラゴンが姿を現す。
ドラゴン:ワシが魔王様からさずかった、この食材を美味しくするダンジョンで、勝手に食事をするお前たちは一体何者だ
ハボット:おお、このダンジョンの食物連鎖の頂点にいるドラゴンか!
イシーヌ:これ、絶対に美味しいやつですよね
ココナ:良質なタンパク質とコラーゲン!
ファルメア:この子たち、ドラゴンを食べ物としてしか見ていないわ……
ドラゴン:何をごちゃごちゃと言っておる
ココナ:くらえ! これがコラーゲンの力よ!
ココナのロックフォールがドラゴンに炸裂。スキル追撃が発動して、膨大なダメージをドラゴンに与える。
ドラゴン:なんだ、この威力は……。しかし、こんな人間どもには負けられぬ
ドラゴンがブレスがパーティを包む。
イシーヌ:なんのこれしき……。この力みなぎるレシピで回復よ!
イシーヌの固有スキルが発動し、ブレスの傷を癒やすとともに味方に強力なバフを付与する
ハボット:どっせい。ワシの一撃をくらえ!
ハボットの強力な一撃がドラゴンの尻尾に炸裂し、尻尾を根本から切断。
ドラゴンは絶叫してのたうち回る。
ファルメア:ドラゴンの尻尾を斬るなんて。なんて威力なの……
ドラゴン:なんという者達だ……。ここはひとまず引くか……
ドラゴンは大きな翼で羽ばたき、ダンジョンの闇に消えて行った
ハボット:逃げおったか……
イシーヌ:ああ、私達のごはんが……
ココナ:でも、あそこに残された食材があるわ
その視線の先には、切断されたドラゴンの尻尾。
イシーヌ:これ、食べるわよね
全員がそれにうなずく。
エピローグ
ドラゴンのテールスープを平らげたハボットたちは、ふと気づくと洞窟の向こうから明かりが照らしすのを発見した。
アルフ:みなさん、ご無事でしたか!
アルフが出迎え、数日間行方不明になっていた仲間を労う。
しかし、不思議なことに気づき、こう問いかけた。
アルフ:なんでみなさん、ずっとダンジョンに潜っていたのに、そんなに血色がいいんですか!?
そんな事件から更に数日、混沌の岩窟の入り口には、再びこの男の姿があった。
ハボット:トレジャーハンターには行かなければならん時があるのだ……。まさか尻尾だけであんなに美味い生き物がおるとは……
イシーヌ:なーに、カッコをつけているんですか。そんな調理器具じゃドラゴンは捌けないですよ
イシーヌの背には、巨大な包丁と鍋が背負われている。
ココナ:ちょっと、また、このココナ様を置いていくつもり? 私の爆裂魔法で今度こそ、あのドラゴンを食材に変えてみせるわ
ファルメア:みんな、遅かったじゃない。待ちくたびれたわ。
そして現れる新たな冒険者。
キャロル:このダンジョンに、お肌に良いドラゴンが出るって噂を聞いたんだけど、私もついていっていいかしら?
全員:(最強の助っ人が現れた……)
ファルメア:さあ、行くわよ。私達の闘い(食材探し)は、まだ始まったばかりよ
(FIN)
異世界居酒屋ほそP&まっすー
王都フリューレの路地裏に一風変わった店がある。
居酒屋「ほそP&まっすー」
これは一軒の居酒屋とアルフたちの、小さな物語である。
プロローグ
王都の通りを疲れた様子で歩くトッフォーの背後からパルチェが声をかける
パルチェ:なにをトボトボ歩いているんですの?
トッフォー:うわ! びっくりした。なんだ、パルチェか
パルチェ:なんだか背中が疲れていますわよ、トッフォー
トッフォー:最近忙しかったからな……。黄金大収穫とか、黄金大収穫とか、黄金大収穫とか
パルチェ:ぼやかないで。貴方らしくないですわよ。そんなあなたに耳寄りの情報を持ってきてあげましたわ。最近、王都の冒険者の間で話題になっている不思議な酒場があるんですの。
トッフォー:不思議な酒場?
パルチェ:見たことのない異国のお酒や料理が並ぶ酒場なんだそうですけれど、誰でもたどり着けるわけじゃないらしいんですの。
トッフォー:どういうことだ!?
パルチェ:どうやらその店は、特定の時間に、特定の手順を踏まなければ現れない、謎に包まれたお店らしいですわ。
トッフォー:それは……お宝の予感がするな
パルチェ;そうこなくては!
トッフォー:トレジャーハンターの血が騒ぐぜ!
パルチェ:メルセデスさんから預かった地図と手順がこれですの。
トッフォー:えーっと、なになに? ソニアとオルデンヌの店がここで、2つ先の通りを右に曲がって、3つ先の通りを左に入って、突き当りまで行ってから一回戻って、すぐ1つめの路地を右に……。なんだこりゃ?
パルチェ:まあまあ。とりあえずこのメモの通りに行ってみますわよ
居酒屋「ほそP&まっすー」
メルセデスが記した指示の通りに通りを進むトッフォー達。入り組んだ小道に大小無数の店が立ち並ぶ。
トッフォー:王都の中でもこの辺りは小さな路地が入り組んでカオスだよなあ
パルチェ:着きましたわ。あの店ではないかしら?
トッフォー:赤い提灯、そして看板にはウサギの絵と異国の文字……。なんだかやけに味のある絵だな……
パルチェ:メルセデスのメモの特徴とも一致しますわ。入りますわよ
パルチェに促されて、紺色の暖簾をくぐるトッフォー。
オルデンヌ:いらっしゃいませ。居酒屋「ほそP&まっすー」へようこそ!
トッフォー:なんでオルデンヌがここにいるんだ。それにソニアまで!?
ソニア:今日は特別にね。さあ、みんな! 今日の主役がいらっしゃたわよー
全員:トッフォー、二年間おつかれさま!!
トッフォー:な、なんだあ!?
パルチェ:今日はこのお店で貴方のお疲れ様パーティを開きますわ!
トッフォー:なんで俺なんだ!?
ファルメア:このパーティの中で、この二年間で、最もたくさんのクエストに出たのがあなただったのよ
トッフォー:俺なんて、クエストにはついていっているけど、戦闘自体はからっきしだぜ
アルフ:トッフォーさんがいつもソルをたくさん集めてくれるから、みんなが助かっているんです
ファルメア:そうよ。ソルがなければ、アクセサリーの強化も出来ないし、新しい仲間を迎えることだって出来ない
セプティム:トッフォーさんは私達のパーティの生命線ですよ
ラヴィ:それに、この前の黄金大収穫でトッフォーが頑張ってくれたおかげで、ソルはカンストしているからな〜
トッフォー:みんな……
オルデンヌ:さあ、パーティの始まりよ、まず最初の飲み物のご注文はこの店の名物、トリアエズナマチュウでいいかしら?
異国の飲み物と料理
サーバーからジョッキに手際よくビールを注ぐまっすー
まっすー:オルデンヌさん、このナマチュウを2番テーブルさんにお願いします
オルデンヌ:わかりました。
まっすー:いろいろ手伝ってもらってすみませんね
オルデンヌ:こちらこそ無理を言って、お店を貸切にしていただいたんですから。今日はカウンターでバーテンダーに徹してくださいね
まっすー:ありがとうございます
オルデンヌ:それにしてもこのきめ細やかな泡。表面に氷が浮かぶ程に冷えたグラス。このエール、只者じゃありませんね
まっすー:わかりますか? この専用のサーバでマイナス2度まで冷やしたエールに、凍らせた泡を掛けて旨味を閉じ込めているんです
オルデンヌ:(氷点下のエール?、凍った泡……。一体どんな技術が……)
巨大な舟型の器に、見事な包丁さばきで刺し身を並べていくほそP。
ほそP:ソニアさん、この舟盛りをトッフォーくん達にお願いします
ソニア:色とりどりの盛り付けが、まるで宝石箱のようだわ
ほそP:どの魚も今朝水揚げされたものを、ツキジから取り寄せたばかりの逸品です
ソニア:ツキジ……ですか??
ほそP:おっと失礼、こちらの話です
ソニア:そして、そちらの大きな丸いお皿に薄く切って飾られたお魚は?
ほそP:ふぐ刺しの盛りつけですよ
ソニア:(この包丁さばきと、飾り切りの技術……。この男は一体何者なの……)
パーティは続く
ソニア:ご歓談中失礼いたします。今日はトッフォーのために、この男たちが特別ステージを披露してくれることになりました
ミナス:じゃあ、今日は俺のギターでこの男に歌ってもらうぜ
まっすー:あー、えーっと。今日歌うのは、これはある人が作ってくれた、トッフォーに捧げる歌です
ソニア:じゃあ、まっすーさん。準備はOKですか?
まっすー:ちょっと待ってください。歌いだしを忘れて……ちょっとiPhoneで確認しますね
店内にまっすーの歌声が響く。
見てきたように語られるトッフォーの活躍の数々。
ソニア:まっすー。ありがとう!
全員:(万雷の拍手と歓声が響く)
ソニア:そして、次はこの人、王国きっての名画伯。この人が即興でトッフォーを描いてくれますよ
テレジアがステージに登場。設置されたキャンバスに筆を走らせ、あっという間に絵が完成する。
テレジア:トッフォーさんって、いっつもこんな感じですよね〜。レインボースライムの色彩がとっても素敵で〜
絵の中央にはトッフォーが描かれ、それの周囲をぐるりと囲むレインボースライム。
ソニア:そ、その絵はまさか……
ファルメア:またこの展開!?
テレジアの描いた絵から、大量のレインボースライムが出現し、絵の構図通りにトッフォーの周囲を除いて巨大なスライム達が店を埋め尽くす。
トッフォー:みんな、大丈夫か!?
アルフ:だめだ、スライムに挟まれて身動きが出来ない……
ファルメア:トッフォー、みんなを助けて……
トッフォーの足はガクガクと震えている。
トッフォー:バカを言うなよ。こんなにたくさんのスライム、俺だけで倒せるわけがないだろう!
ファルメア:トッフォー……
トッフォー:俺は聖騎士や魔法学院の先生じゃねえんだ。いつもオレは怖いんだよ。一人じゃ何も出来ねえんだ
その時、トッフォーの背後に二人の男が現れる。
ほそP:トッフォーくん。君ならやれるさ
まっすー:君はこの世界で、この二年間、誰よりもたくさんのスライムを相手にしてきた。今こそ目覚めるときだ。
ほそP:ほら、剣を構えて戦うんだ。はじめるなら、今がチャンスだ!
トッフォーの全身に力がみなぎる。
トッフォー:うおおおおお!
トッフォーが低く叫びながら突進し、巨大なスライムを一撃で葬る。
ファルメア:まさか、黄金級のレインボーデモンラージスライムが一撃で!
メルセデス:トッフォーこれを使って!
トッフォー:サンキュー、メルセデス。これでもくらえ!!
大地の力Ⅲが炸裂し、店内のすべてのスライムが一瞬で爆散
トッフォー:この力は一体……
ほそP:トッフォーくん、ありがとう。それじゃあ、みんなにデザートを出そうかな?
まっすー:コーヒーやお茶が欲しい人は僕が入れますからね
エピローグ
パーティが終わり、宿に帰る冒険者達。
仲間と離れて、通りを戻って店を探すトッフォー。
メルセデス:無駄よ。トッフォー。
トッフォー:メルセデス!?
メルセデス:あの店はもう見つからないわ。そもそもあんな区画はこの王都には存在しないのよ。
トッフォー:さっきまで、俺たちは確かにあの店にいたんだぜ
メルセデス:そうね。時空を歪める強大で恐るべき能力だわ
トッフォー:まさか、あんないい人たちが、怪しい力を操る魔族だっていうのか!?
メルセデス:逆よ。むしろ神様……というべきかな?
店の暖簾を外して、店じまいするほそPとまっすー。
まっすー:あれ、アルフくんたちが座っていたテーブルにこんなものが……
ほそP:なになに、忘れ物かなあ?
小さな封筒には、セプティムのかわいらしい文字で「ほそPとまっすーへ」と書いている。
封筒を開けると、中にはこんなメッセージが。
ほそPとまっすー
この二年間、本当にお疲れさまでした。
この世界のために誰よりもがんばる二人をいつも応援しています
これからもお体にお気をつけて
〜アルフ&セプティム&冒険者一同〜
(FIN)
アヤコとジアス(後編)
ジアスの騎士団が滞在する村の近くに現れた突然姿を現した紅城。
紅城内でジアスが出会った娘は、アヤコと名乗った。
※これは後編になります。前編はこちら。
帝国の罠
翌日、ジアスの率いる騎士団は、森の奥から大量に押し寄せるマモノから村を防衛する任務にあたっていた。
ジアス:この森でマモノの活動が活発化しているとは聞いていが、これほどの規模だとは……。何人やられた?
騎士団員1:3人です。
ジアス:なんだ、ここのマモノ達は……。一部隊で相手ができる数じゃねえぞ
騎士団員2:隊長、森の中にこんなものが……
ジアス:これは帝国の魔道士の使う呪符。これでモンスターが凶暴化しているのか……
騎士団員1:帝国の罠だってことですか?
騎士団員2:一旦引いて応援を……
その時、巨大な地響きが聞こえ、少し離れた森の中に紅城が姿をあらわす
騎士団員1:なぜ紅城が急に……
騎士団員2:村を目指していたマモノの群れの動きが変わった!
騎士団員1:助かったのか?
ジアス:お前たちは隊を率いて、先に村に戻って体制を立て直せ
騎士団員2:隊長はどちらへ?
ジアス:ちと野暮用を思い出してな……
そのころ紅城では、固く閉ざした正門に押し寄せるマモノの群れに対して、アヤコが指示を出していた。
アヤコ:壁を登るマモノに弓を射かけよ。取り付かせるな。エレメンタルストーンはどうなっておる?
女官:森の結界と反応して出力が下がっています。姿を隠すことが出来ません
アヤコ:裏門から外に出て結界を破壊するのじゃ
女官:押し寄せるマモノに正門が保ちません
アヤコ:ここまでか……
そこに現れる黒衣の騎士。
ジアス:目障りだ。消えちまいな!!
ジアスがその大剣を地に突き立て、ダークレイヴンでマモノを一掃する
アヤコ:ジアス。なぜここに……
ジアス:昨日の借りを返しにな
騎士団員1:隊長、美味しい役を一人でもっていなかいでくださいよ
ジアス:お前たち……
ジアスの騎士団のメンバーがぞくぞくと現れる
アヤコ:おぬしらは昨日の……
ジアス:アヤコ、城は一体どうしたんだ?
アヤコ:森の結界が干渉して、本来の力がだせんのじゃ
ジアス:じゃあ、お前が結界を壊してきてくれ! ここは俺と部下たちに任せろ!
アヤコ:すまぬ……
アヤコは結界を破壊するため、数名の女官を連れて森に消える
騎士団員1:あの娘は……
ジアス:アヤコと名乗ったよ。この城の城主だと言っていた
騎士団員2:アヤコ……。まさかあの和国の……
ジアスの過去
アヤコは帝国軍によって森に仕掛けられた結界を破壊していく。
アヤコ:ええい。なぜここまで手の混んだ仕掛けを。時間がかかりすぎてはジアス達が……
アヤコが最後の結界を破壊し、紅城前に戻ると、おびただしい数のマモノと人間達の死体が横たわっていた。
その中でただ一人、門に背を向けて、肩に大剣を担いだ黒衣の男が、全身血だらけの姿で立っている。
ジアス:よお、アヤコ。無事だったか
アヤコ:なぜ、ここまで無理をするのじゃ
ジアス:言っただろう。ここは任せろって
ジアス:おぬしらは、馬鹿じゃ。なぜ昨晩会ったばかりのわらわ達のためにここまで……
ジアスの全身には大小無数の傷があり、腹わたが深くえぐられ、内臓が見えている。
アヤコの目から大粒の涙があふれる。
ジアス:会ったばかりじゃねえんだよ……
アヤコ:え……
ジアス:昔、和国の有力豪族の地で、大規模な反乱があった
アヤコ:……
ジアス:あれを裏で手引きをしたのは、この国なのさ……。そして国の表に出せない汚え仕事を片付けてきたのが俺たちの部隊だ
アヤコ:……
ジアス:当時、和国で急速に力をつけていた豪族が、火のエレメンタルストーンを手に入れたという情報があった。その豪族が和国をまとめ、ルーツ王国の脅威となる可能性がある考えた王国の参謀達は、俺たちを和国に送り込んで情報を集めさせた
アヤコ:……
ジアス:その国にはまだ15歳の姫がいたんだ。利発にして豪胆、そして何よりも人の心を引き付ける天賦の才を持った女の子だった。俺は国に報告したんだ。現領主に大きな危険はないが、その娘が実権と握るころには、必ずや王国を脅かす存在になるだろうと。
アヤコ:……
ジアス:その報告を受けた王国から下された命令は、密かに反乱を先導し、エレメンタルストーンを奪い、領主とその娘を抹殺することだった
アヤコ:……
ジアス:俺たちは、その命令に従うふりをして、密かに領主の一家を逃がす計画を立てた。しかし、計画は失敗。別部隊が先導した反乱軍の勢いは強く、城に近づくことすらできなかった。焼け落ちた城から、領主の死体は見つかったが、娘はそのまま行方不明になった
アヤコ:……
ジアス:あの晩、俺たちは、燃え上がる城から、巨大な別の城の影が夜空に浮かび上がり、消えるのを見ていた。俺たちはずっとあの日のことを後悔してきた……
アヤコ:もうしゃべるでない……
ジアス:俺は……
何かを話そうとするジアスの口を、アヤコの唇が塞ぐ。
アヤコの胸に抱かれ、ジアスはそのまま気を失う。
紅城にて
ジアスはその後、紅城の中に保護された。
マモノから受けた傷は致命傷に近いものであったが、精霊たちの治療によってジアスは奇跡的に命を永らえていた。
女官:熱が下がりません。このままでは今夜が峠かと……
アヤコ:エレメンタルストーンの力をわらわに集めよ
女官:何をされるのですか?
アヤコ:この身を通じて、この男に精霊力を流し込む
女官:危険です。アヤコ様の身体の負担が大きすぎます……
アヤコ:あの術は精霊には使えぬ。用意してくれ、この通りじゃ
女官:アヤコ様……
ジアスに紅城にいたときの記憶はほとんど残っていない。
受けた傷により高熱にうなされる中、わずかに覚えているのは、ずっと自分の傍らについてくれていた女性がいたということ、その唇の感触、白い肌の暖かさ……。
気がつくと、ジアスは村の宿屋に寝ていた。紅城の女官達によってその宿に預けられたのだという。
全滅した自分の部隊は、村の近くの墓地に手厚く埋葬されていた。
ジアスはその後、王都に戻って騎士団をやめ、冒険者となった。
エピローグ
ディサラ:ジアス様。ジアス様!
ジアス:なんだ、ディサラか……
ディサラ:「なんだ、ディサラか」じゃないですよ。何をぼーっとご覧になっているのですか?
ジアスの視線の先に、アルフたちと並んで歩くアヤコの姿がある。
ディサラ:そこにいらっしゃると落ち葉掃除の邪魔になりますよ
ジアスに見られているのに気づいたアヤコが振り返り、片目をつむると、小さな仕草で口に一本指をあてた
ジアス:(すっかりいい女になっちまいやがって……)
ジアス:ここじゃあ、センチメンタルにひたるヒマもねえなぁ〜
ジアスはそう呟くと、秋風の吹く中、大剣をその肩に担いで立ち上がる。
(FIN)
<公式によるキャラ紹介>
【キャラ紹介】
— セブンズストーリー公式 (@sevens_story) 2016年10月3日
漆黒の剣を振るう剣士、ジアス。声は木内秀信さんに担当していただきました。
かつては騎士団で隊長を務めていたものの、ある戦いをきっかけに放浪の旅に出たのだとか。何があったのでしょう。 #セブンズストーリー #セブスト pic.twitter.com/ZG89gIaO0y