セブスト Fan Fun Festa

スマホゲーム「セブンズストーリー」とその運営への愛がみなぎる二次創作ショートストーリー

アヤコとジアス(後編)

ジアスの騎士団が滞在する村の近くに現れた突然姿を現した紅城。
紅城内でジアスが出会った娘は、アヤコと名乗った。

※これは後編になります。前編はこちら

 

帝国の罠

翌日、ジアスの率いる騎士団は、森の奥から大量に押し寄せるマモノから村を防衛する任務にあたっていた。

 

ジアス:この森でマモノの活動が活発化しているとは聞いていが、これほどの規模だとは……。何人やられた?

騎士団員1:3人です。

ジアス:なんだ、ここのマモノ達は……。一部隊で相手ができる数じゃねえぞ

騎士団員2:隊長、森の中にこんなものが……

ジアス:これは帝国の魔道士の使う呪符。これでモンスターが凶暴化しているのか……

騎士団員1:帝国の罠だってことですか?

騎士団員2:一旦引いて応援を……

 

その時、巨大な地響きが聞こえ、少し離れた森の中に紅城が姿をあらわす

 

騎士団員1:なぜ紅城が急に……

騎士団員2:村を目指していたマモノの群れの動きが変わった!

騎士団員1:助かったのか?

ジアス:お前たちは隊を率いて、先に村に戻って体制を立て直せ

騎士団員2:隊長はどちらへ?

ジアス:ちと野暮用を思い出してな……

 

そのころ紅城では、固く閉ざした正門に押し寄せるマモノの群れに対して、アヤコが指示を出していた。

 

アヤコ:壁を登るマモノに弓を射かけよ。取り付かせるな。エレメンタルストーンはどうなっておる?

女官:森の結界と反応して出力が下がっています。姿を隠すことが出来ません

アヤコ:裏門から外に出て結界を破壊するのじゃ

女官:押し寄せるマモノに正門が保ちません

アヤコ:ここまでか……

 

そこに現れる黒衣の騎士。

 

ジアス:目障りだ。消えちまいな!!

 

ジアスがその大剣を地に突き立て、ダークレイヴンでマモノを一掃する

 

アヤコ:ジアス。なぜここに……

ジアス:昨日の借りを返しにな

騎士団員1:隊長、美味しい役を一人でもっていなかいでくださいよ

ジアス:お前たち……

 

ジアスの騎士団のメンバーがぞくぞくと現れる

 

アヤコ:おぬしらは昨日の……

ジアス:アヤコ、城は一体どうしたんだ?

アヤコ:森の結界が干渉して、本来の力がだせんのじゃ

ジアス:じゃあ、お前が結界を壊してきてくれ! ここは俺と部下たちに任せろ!

アヤコ:すまぬ……

 

アヤコは結界を破壊するため、数名の女官を連れて森に消える

 

騎士団員1:あの娘は……

ジアス:アヤコと名乗ったよ。この城の城主だと言っていた

騎士団員2:アヤコ……。まさかあの和国の……

 

ジアスの過去

アヤコは帝国軍によって森に仕掛けられた結界を破壊していく。

 

アヤコ:ええい。なぜここまで手の混んだ仕掛けを。時間がかかりすぎてはジアス達が……

 

アヤコが最後の結界を破壊し、紅城前に戻ると、おびただしい数のマモノと人間達の死体が横たわっていた。

その中でただ一人、門に背を向けて、肩に大剣を担いだ黒衣の男が、全身血だらけの姿で立っている。

 

ジアス:よお、アヤコ。無事だったか

アヤコ:なぜ、ここまで無理をするのじゃ

ジアス:言っただろう。ここは任せろって

ジアス:おぬしらは、馬鹿じゃ。なぜ昨晩会ったばかりのわらわ達のためにここまで……

 

ジアスの全身には大小無数の傷があり、腹わたが深くえぐられ、内臓が見えている。

アヤコの目から大粒の涙があふれる。

 

ジアス:会ったばかりじゃねえんだよ……

アヤコ:え……

ジアス:昔、和国の有力豪族の地で、大規模な反乱があった

アヤコ:……

ジアス:あれを裏で手引きをしたのは、この国なのさ……。そして国の表に出せない汚え仕事を片付けてきたのが俺たちの部隊だ

アヤコ:……

ジアス:当時、和国で急速に力をつけていた豪族が、火のエレメンタルストーンを手に入れたという情報があった。その豪族が和国をまとめ、ルーツ王国の脅威となる可能性がある考えた王国の参謀達は、俺たちを和国に送り込んで情報を集めさせた

アヤコ:……

ジアス:その国にはまだ15歳の姫がいたんだ。利発にして豪胆、そして何よりも人の心を引き付ける天賦の才を持った女の子だった。俺は国に報告したんだ。現領主に大きな危険はないが、その娘が実権と握るころには、必ずや王国を脅かす存在になるだろうと。
アヤコ:……
ジアス:その報告を受けた王国から下された命令は、密かに反乱を先導し、エレメンタルストーンを奪い、領主とその娘を抹殺することだった

アヤコ:……

ジアス:俺たちは、その命令に従うふりをして、密かに領主の一家を逃がす計画を立てた。しかし、計画は失敗。別部隊が先導した反乱軍の勢いは強く、城に近づくことすらできなかった。焼け落ちた城から、領主の死体は見つかったが、娘はそのまま行方不明になった

アヤコ:……

ジアス:あの晩、俺たちは、燃え上がる城から、巨大な別の城の影が夜空に浮かび上がり、消えるのを見ていた。俺たちはずっとあの日のことを後悔してきた……

アヤコ:もうしゃべるでない……

ジアス:俺は……

 

何かを話そうとするジアスの口を、アヤコの唇が塞ぐ。
アヤコの胸に抱かれ、ジアスはそのまま気を失う。

 

紅城にて

ジアスはその後、紅城の中に保護された。
マモノから受けた傷は致命傷に近いものであったが、精霊たちの治療によってジアスは奇跡的に命を永らえていた。

 

女官:熱が下がりません。このままでは今夜が峠かと……

アヤコ:エレメンタルストーンの力をわらわに集めよ

女官:何をされるのですか?

アヤコ:この身を通じて、この男に精霊力を流し込む

女官:危険です。アヤコ様の身体の負担が大きすぎます……

アヤコ:あの術は精霊には使えぬ。用意してくれ、この通りじゃ

女官:アヤコ様……

 

ジアスに紅城にいたときの記憶はほとんど残っていない。
受けた傷により高熱にうなされる中、わずかに覚えているのは、ずっと自分の傍らについてくれていた女性がいたということ、その唇の感触、白い肌の暖かさ……。

  

気がつくと、ジアスは村の宿屋に寝ていた。紅城の女官達によってその宿に預けられたのだという。

全滅した自分の部隊は、村の近くの墓地に手厚く埋葬されていた。

ジアスはその後、王都に戻って騎士団をやめ、冒険者となった。

 

エピローグ

ディサラ:ジアス様。ジアス様!

ジアス:なんだ、ディサラか……

ディサラ:「なんだ、ディサラか」じゃないですよ。何をぼーっとご覧になっているのですか?

 

ジアスの視線の先に、アルフたちと並んで歩くアヤコの姿がある。

 

ディサラ:そこにいらっしゃると落ち葉掃除の邪魔になりますよ

 

ジアスに見られているのに気づいたアヤコが振り返り、片目をつむると、小さな仕草で口に一本指をあてた

 

ジアス:(すっかりいい女になっちまいやがって……)

ジアス:ここじゃあ、センチメンタルにひたるヒマもねえなぁ〜

 

ジアスはそう呟くと、秋風の吹く中、大剣をその肩に担いで立ち上がる。
(FIN)

 

 <公式によるキャラ紹介>

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