セブスト Fan Fun Festa

スマホゲーム「セブンズストーリー」とその運営への愛がみなぎる二次創作ショートストーリー

転生したらアルフくんだった件

プロローグ

俺は37歳の会社員。毎日深夜まで残業して働く社畜で、彼女はいない。

そんな俺の唯一の癒やしは、ウィズエンターテインメントのスマホゲーム「セブンズストーリー」だ。

優れたデザインで、俺の萌ツボをしっかりと押さえてくるキャラクター達。

中でも本作のヒロインで、1周年ガチャでまさかのプレイアブルキャラクターとして実装されたセプティムちゃんは、俺の最高の推しキャラである。

仕事を終えて駅に向かう俺が、交差点で信号を待ちながら、セブストのモデルビューアでセプティムちゃんを眺めていると、そこに暴走したトラックが突っ込んできた。

周囲で上がる悲鳴。

スマホを見ていて、一瞬反応が遅れた俺がトラックに気づいたときには、もう手遅れだった。

交通事故にあう時、人は時間の流れが遅く感じられるというのは本当のことらしい。

ひどくゆっくりと近づくトラックに対して、とっさに俺が採った行動は、手に持ったスマホを身体で庇うことだった。

全身を打ち付けられ、跳ね飛ばされる。

20メートルほど飛ばされた俺は、そのままスマホを抱きかかえるような姿で地面に転がった。

 

俺:(このまま、俺は死ぬのか……)

俺:(まあ、大して人生に悔いがあるわけじゃない。唯一の心残りは、もうすぐ来るハロウィンイベントに向けて溜めたジェムでミスティちゃんをお迎え出来なかったことぐらいか……)

俺:(こんな時アルフくんだったら、形見の指輪でHPを1だけ残して生き残るんだろうな……)

 

最期の瞬間に、そんな下らない妄想が浮かぶ自分が可笑しくなる。

そんな俺の耳元に、聞き慣れない機械的な音声が響いた。

 

脳内に響く声:スキル「根性」を獲得しました

俺:(何だ……幻聴が聴こえるな。人生の最期に、セブストが俺の願望を叶えようとしてくれるのか? 俺は、本当にこのゲームが好きだったんだな。次に生まれ変わるとしたら……)

脳内に響く声:ディメンションキューブの発動を確認。これよりアンドリュー王統治時代のルーツ王国に転送を開始します

 

そこで俺の意識は途絶えた。

 

 

目覚めると

セプティム:アルフさん! アルフさん!

俺:う……、うう?

セプティム:良かった。目が覚めたんですね。急に倒れるからびっくりしましたよ

 

見慣れた少女がそこにいた。

薄紫のショートカットの美少女が、俺を心配そうに見つめている。

 

俺:ええっと、これは……?

 

俺は自分が憧れのセプティムちゃんに膝枕されているという状況に気づき、慌てて飛び起きた。

 

セプティム:大丈夫ですか? まだ休んでいたほうが

俺:え……、ええっと、本物のセプティムさん?

セプティム:本物ってどういうことですか、アルフさん

俺:アルフ? 俺が??

セプティム:本当に大丈夫ですか!?

 

突然すぎる状況に頭がついていかないが、目の前の少女は確かにセプティムちゃんだ。
こうなると試さないわけにはいかない。

 

セプティム:アルフさん! なんでスカートをめくるんですか!!

俺:やっぱり白い……

セプティム:アルフさん、なんだか今日はおかしいしいですよ……

 

蒼い瞳の少女は涙目になって怒っているようだ。

しまった。ついモデルビューアを見ているときの癖が出てしまった。

パンツを見られると、そりゃあ普通は怒るよな……

そこに現れる狐のお姉さん。

 

アヤコ:見せてもらったぞ、アルフ。まさか昼間からそんな大胆な行動に出るとは、お主も隅に置けんのう……

俺:アヤコ様!?

アヤコ:なぜわらわは様付なんじゃ。裸で付きおうたお主とわらわの仲ではないか。

 

アヤコはそういうと、俺の腕を両手にとって抱き寄せる。

俺の腕にとてもやわらかいものが……。

アヤコ様。4人目のセブンズフェスキャラとして実装されたマジックギア使い。

謎めいた大人の魅力を漂わせるアヤコ様は、セプティムちゃん一途だった俺の心を大きく揺るがせる存在だった。

 

セプティム:裸って一体どういう……

ファルメア:アヤコ。あんまりアルフとセプティムをからかわないの

アヤコ:二人とも真っ赤になっておるぞ。かわいいのう

 

俺はどうやら状況を理解しはじめていた。

ここはルーツ王国。俺はアルフくんになっているらしい。

これは今、流行りの異世界転生というやつではないか……

ここにもしTwitterがあれば、セブスト民の皆さんに教えてあげたい。

セプティムちゃんの膝枕はすごく柔らかかったです。

リアルなアヤコ様はとてもいい匂いがします。そしてやはり履いていないような……

 

スキルを獲得しよう 

異世界転生というと、チートな能力を獲得するのが定番の流れだ。

この前事故にあった時に脳内に響いたあの言葉は、俺が自由に能力を獲得できることを示しているのではないか?

 

脳内に響く声:攻撃力+4%を獲得しました。

 

ほら。少し考えただけで、スキルを獲得できた。

 

脳内に響く声:会心+4%を獲得しました。

 

いい感じ。このままスキルを増やしてチートな強さを発揮するのだ。

 

脳内に響く声:束縛、与ダメ+6%を獲得しました。打衝+6%を獲得しました。幽体与ダメ+6%を獲得しました。飛行与ダメ+6%を獲得しました。スロウ、与ダメ+6%を獲得しました……

 

なにか変だと気づいた時、無情な言葉が響いた。

 

脳内に響く声:砂が足りません。ジェムを利用しますか?

 

砂ガチャだったんですね……。

セブストの世界は転生しても、ゲームバランスに厳しかったです。

 

エピローグ

そんなこんなで、俺のアルフくんとしての冒険者生活が始まった。

まだこの世界は謎ばかりだ。

元の世界に帰ることはできるのか?

いつの間にかアクセサリーとして身につけていたディメンションキューブの意味はなんなのか?

メインストーリーの第六章はいつになったら実装されるのか?

 

ただし、これだけはわかる。

アルフくんとして生きるのは大変だ。

他の冒険者と比べて体力があるわけでもない星3の身で、特技は「挑発」と「根性」だ。

いつも先頭に立って、敵のヘイトを誘い、ギリギリの体力で生き残る。

相棒のラビィにすら攻撃力で劣る俺の役割は、敵を引きつけて味方を守ること。

これは正直かなりつらい。こんな地味な主人公が他にいただろうか?

それでも俺は、あの日、交通事故でトラックに轢かれたときと同じような苦痛を全身に受けながら、今日も戦い続ける。

あの少女、セプティムを守る最強の盾として。

きっとそれが、俺がこの世界に転生した意味なのだから。

(FIN)

 

 

<公式によるキャラ紹介>

 

 

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